☝かもめの街 / 冬隣 / 紅い花
【かもめの街 / 冬隣】
■ 一度聴くと まちがいなくファンになる魔法の二曲
またこの時期、シングルカットにはされなかったものの、
今現在でも多くの歌手にカバーされカラオケ通に愛されてやまない曲に、
作詞・ちあき哲也、作曲・杉本真人による
「かもめの街」、「冬隣」があります。
2曲とも奇跡の曲と呼ぶにふさわしい位、難易度が高いといわれています。
「かもめの街」はもともと出来ていたけど、あまりの難曲に歌い手がいなく
長い間眠らせていたそうです。
しかし「ちあきなおみなら歌える!」と確信したとか・・。
「かもめの街」に出てくる「波止場」、「かもめ」、「潮風」というフレーズ
から「港町」が舞台だと思いますが、実はこの曲の舞台は「渋谷」なのだそうです。
いつも飲みに行く道玄坂の坂から見た街灯が「光の海」に見え、
この光景を詞にしたそうです。
「やっと店が終わって~、ほろ酔いで坂を下りる頃・・、白っちゃけたおてんとが浜辺を
染め始めるのさ・・、そんなやりきれなさは・・夜眠る人にゃわからないさ・・」と
さみしい女の何とも言えない、独り言をつぶやくようなその詞は、
文字数が半端ないほど多く、アカペラで歌うのならまだしも、バックのオーケストラと
一寸の狂いもなく歌えるのはやはりちあきなおみしかいなかったということでしょうか。
彼女の歌声は、フレーズに深い意味、ドラマがあり、なんといっても「かっこいい!」
としか言いようがありません。
1曲聴き終わったあとはミュージカルを見終わったような感動を覚えます。
「冬隣」にしてもそうです。
最愛の夫に先立たれたちあきなおみを予言してたかのような曲とよく言われていますが、
悲しみに打ちひしがれている女性を主人公にしているこの曲のメロディーの素晴らしさ、
特に「地球の夜更けはさみしいよ・・」「私がそこから見えますか・・」は
壮大な宇宙を連想させ、一言で言うとズバリ「鳥肌もの」です。
あまりの素晴らしさに現在シングルカットも検討されています。
【紅い花】
■ 決してそう思いたくない・・・ラストステージの曲
ちあきなおみの歌手生活は幕を閉じたとは決して思いたくないですが・・
今思えば、生で歌う姿が見る事ができた最後の曲が
「紅い花」になってしまいました・・。
「今日も消える夢一つ・・」という何とも言えないフレーズで締めくくられる
この「紅い花」。
ちあきなおみの表現力だからこそ生きてきます。
こちらでご紹介している歌手−ちあきなおみ−(CD5枚組+特典DVD1枚)では
横浜関内ホールで「紅い花」を歌うちあきなおみのステージの未発表映像
が収録されています。
ステージに立つちあきなおみは光り輝く程のオーラを放ち、
女性としても最も美しいといえる時期でしょう。
またどんなジャンルの歌も歌える
日本の大御所歌手として正に「絶頂期」でした。
この頃の彼女はガンとの闘病で戦う夫の看護と歌手活動の往復でしたが、
ステージの彼女は疲労した顔を微塵と見せることなく、苦労を全て歌の深さ
に変えて行っているかのようでした。
しかし平成4年9月に最愛の夫郷鍈治(宍戸鍈治)は永眠しました。
その日を境に歌手として公の場には一切出ることを封印したのです・・・。